●この講師の聴きどころ●

4月8日(土)

東京大学大学院
総合文化研究科准教授

齋藤 幸平

人新世(ひとしんせい)の危機とコモンの思想

さいとう こうへい

 酷暑、異常気象など、気候危機は私たちの生活を脅かすようになっている。だが、近年流行りのSDGs(持続的な環境開発目標)はまやかしの「大衆のアヘン」であり、気候変動を止めることはできない。こういう書きだしの本が2021年、新書大賞に輝いた。『人新世の「資本論」』。世はこれまで利潤追求と経済成長に明け暮れたが、やがては壁にぶち当たる。危機を解決するには、資本主義が独占してきた富を人々の手にゆだね、それを「コモン」にしなければならないと言う。1987年生まれの学者の論に耳を傾けてみよう。